選択機能体系言語学(SFL)ジャンル(genre)とレジスター(register)の違いについて調べてみました。

昨日、前も何度か紹介した選択機能体系言語学(詳しくはこちら)のジャンルとレジスターについて質問を受けたのですが、うまく説明できなかったので、反省も込めて少し調べてみました。
参考にしたのは以下の論文です。

  • Martin, J. R. 2010. “Language Register and Genre.” In Analyzing English in a Global Context: A Reader, eds. Anne Burns and Caroline Coffin, Oxon, UK: Routledge. 149–166.
Analyzing English in a Global Context (Teaching English Language Worldwide)

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このジャンル・レジスターの定義については、選択機能体系言語学の中でも違いがありますので、実際に引用する際には誰のものを使っているのかを明らかにする必要があるようです(詳しくはこちら)。今回はMartinのものを参考にしています。

ジャンル

まずジャンルというのは、目的を持った社会的プロセスと定義されているようです。(Martin 1992, p. 142)
「目的がある」というのが大切で、約束する、買い物する、ストーリーを伝える、手紙を書く、ご飯に招待するなど日常生活で目的を持って行うあらゆる行動が含まれます。

普通ジャンルと言えば、音楽のポップやロック、ジャズなどの種類を思い浮かべる人も多いかと思いますが、選択機能体系言語学(SFL)ではかなり広い意味で「ジャンル」という概念が捉えられています。

レジスター

そして、「約束をする」という行為を一つとっても、実際の1つ1つの場では、誰と約束するか(先生・友達)、どうやって約束するか(メール、電話、対面等)、何の約束をするかなどが問題になってきます。レジスターというのはその一つ一つの状況で、何が起こっているか、話し手や聞き手の関係性、メッセージが伝達される媒体が何か、といったようなことを言うようです (Martin 2010)。

genre
Martin, J. R. 2010. “Language Register and Genre.” In Analyzing English in a Global Context: A Reader, eds. Anne Burnsand Caroline Coffin, Oxon, UK: Routledge. p. 156より抜粋

ちなみにMartin によるとジャンルとレジスターと言語の関係は上の図のようになるそうです。

たまたまネットで見ていて知ったのですが、この論文は和訳も出版されているようです。

  • シドニー学派のSFL : ハリディ言語理論の展開. マーティン ジェームス・ロバート(著 ), 羅 成滉(監訳), 朴 醇(訳),  リーベル. 2005
シドニー学派のSFL: ハリディ言語理論の展開 (オーストラリアン英語教育理論シリーズ 発展編)

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次聞かれたときはもう少しうまく説明できればなと思います。