Vertovec (2007)によるとロンドンはSuper-diversityだそうです・・・。

この前の記事でtranslanguagingについて紹介しましたが(詳しくはこちら)、そのGarcia and Li (2014)にVertovec(2007)の「super-diversity」(超多様性) という言葉が引用されていて(p.2)、印象的な言葉だったので、原文を見てみました。

  • Vertovec, Steven (2007) Super-diversity and its implications. Ethnic and Racial Studies. 1024-1054

Vertovecの本のうち一冊が去年日本語でも出版されたみたいです。Vertovecについては私は初めて聞いたのですが、amazonの紹介記事によると今はドイツのマックス・プランク民族宗教多様性研究所代表だそうです。

  • スティーブン・バートベック(2014). トランスナショナリズム. 水上徹男他訳. 日本評論社

上記の論文は英国(特にロンドン)の多様性についての論文でした。「超多様性(super-diversity)」というのも英国の状況を指すのに使われている用語のようです。

一昔前までは、英国への移住者は、アフロ・カリビアン系、インド系、パキスタン・バングラデッシュ系、香港系などの英連邦の国が多かったそうですが、1990年初頭からはその他の国の移民が増え、多様性が広がったそうです。ロンドンだけでも179か国の人がいるそうです(p. 1029)

また、ロンドンでは300の言葉が話され、ロンドンの北西部のBrent行政区では移民率(英国で出生していない人)が46.5%にも上るそうです。(p.1030)

super-diversity(超多様性)という言葉からも分かるとおり、こういった外国出身者の経済状況、出身国は多種多様で、ひとくくりにできないといっています。また、ロンドンのTower Hamlet地区(ロンドン東部)のバングラディッシュ人、Southwark(ロンドン中南部)のシエラレオネ人、Enfield(ロンドン北部)のキプロス人、Ealing(ロンドン西部)のアフガニスタン人、Haringey(ロンドン北部)のトルコ人など、いくつかの国の出身者は固まって定住しているそうなのですが(p.1041)、それ以外は住む場所もバラバラで、民族や出身国という括りで考えることはできないといっていました。

なじみがない地名なども多く、ちょっとイメージがつかみにくいところもありましたが、超多様性・・・といわれて、「確かに」と頷きたくなるようなデータでした。