「冷える/冷やす」「冷める/冷ます」の違いについて
「冷える/冷やす」「冷める/冷ます」の違いについて調べてみました。
まず、「冷える・冷やす」と「冷める・冷ます」は自動詞・他動詞のペアです。
- 水が冷える(自動詞)
- 私が水を冷やす(他動詞)
- 水が冷める(自動詞)
- 私が水を冷ます(他動詞)
なので、自動詞・他動詞のペアをまとめて、「冷える/冷やす」と「冷める/冷ます」の違いとして調べたいと思います。
「冷える/冷やす」と「冷める/冷ます」の意味の違い
「冷える/冷やす」は、温度を下げて冷たくするときに使います。なので、「冷えた水」は冷たい水です。
「冷める/冷ます」は、熱いものの温度が下がるときに使います。ただ、冷めたものが「冷たい」とは限りません。ときにはぬるいこともあるでしょう。
「ポットのお湯が冷めた」といったとき、「冷めたお湯」の温度はぬるいぐらいで、別に冷たくないことも多いと思います。
「冷える」と「冷める」の使い方の違い
自動詞「冷える」「冷める」の使い方の違いも、国立国語研究所のNINJAL-LWP for BCCWJというコーパスを使って調べてみました。
ウェブサイト:http://nlb.ninjal.ac.jp/headwords/V.01289-V.01573/ 検索日:2019年7月4日
頻度は「冷える」のほうが「冷める」より若干使われることが多いようです。
「冷える」は、「下半身が冷える」「手足が冷える」「おなかが冷える」など、体の部分でよく使うようです。体が冷たくなるといった意味になります。
「冷める」のほうは、「ほとぼりが冷める」「熱が冷める」「気持ちが冷める」など、「気持ちが衰える」ときにも使います。
また「酔いが冷める」とはいいますが、「酔いが冷える」とは言わないです。これも「冷める」が「熱があったものの熱をとる」という意味というときに使えるからでしょう。
「冷やす」と「冷ます」の使い方の違い
他動詞「冷やす」と「冷ます」の使い方の違いもコーパスで調べてみました。
ウェブサイト:http://nlb.ninjal.ac.jp/headwords/V.01105-V.02299/ 検索日:2019年7月4日
まずわかるのは「冷やす」のほうが「冷ます」より頻度が高いということです。
また「冷やす」は、自動詞のペア「冷える」と同じように体の一部で使うことが多いようですが、「肝を冷やす」や「頭を冷やす」などの慣用表現でも使われます。
まとめ
「冷える/冷やす」は、温度を下げて冷たくするとき、「冷める/冷ます」は、熱いものの温度が下がるとき(ただし、冷たいとは限らない)に使うようです。
また「冷める」は、「気持ちが冷める」のように、気持ちが衰えるときにも使えるようですね。