音象徴とは
音象徴は英語ではsound symbolismになりますが、これは「音から意味の連想が直接起きる現象」(川原2015 p.6)のことを言います。
takete/malumaとbouba/kiki
音象徴の研究で有名なのは、Wolfgang Köhlerが1929年に行った研究です。
以下のような2つの絵があり、この2つに「takete」か「maluma」どちらかの名前を付けてくださいといったとします。
そうすると、母語にかかわらず、左側の角ばった絵に「takete」、右側の丸みのある絵に「maluma」という人が多いようです。
また、同じ上記の絵に「Bouba」か「Kiki」か名前をつけてくださいといったとします。
すると、大多数の人が、左側の角ばった絵に「Kiki」、右側の丸みを帯びた絵に「Bouba」とするそうです。
(この一連の研究は有名で、タケテ/マルマ効果やブーバ/キキ効果と呼ばれたりもします。)
様々な言語で調査がされたそうですが、母語にかかわらず、「t」や「k」の音に角ばったイメージを、「m」や「n」の音が柔らかい印象を持つ人が多いようです。
また、「u」の母音は円唇母音(発音するときに唇が丸まる)だからか、「u」を丸いものと結びつける人も多いようです。
このように、音そのものが連想させる意味のことを「音象徴」と呼んでいます。
ちなみに、擬音語や擬態語、擬声語は、犬が「わんわん」吠える、猫が「にゃーにゃ―」なくなど、音に基づくものなので、「音象徴語」と呼ばれることもあります。
興味のある方は
日本語の音象徴では川原の研究があります。
また、川原は以下のような一般向けの本も書いています。読みやすいですし、音象徴や音声学に興味のある方にはおすすめです。
- 川原繁人(2015)音とことばのふしぎな世界: メイド声から英語の達人まで. 岩波書店