Critical thinkingについてちょっとまとめてみました。
critical thinking (Pennycook 2004)は狭義の意味では、自分の立場から距離を置いて物事を考えることになるみたいですが、現在は人によってかなり広い使われ方をされることもあるようです(Moore 2013)
Critical thinkingの細かい定義だけではなく、捉え方もかなり違います。
- Critical thinkingをスキルとして見る立場(Eskey and Grabe (1988), Richard-Amato and Snow (1992)など)
この立場だと、critical thinkingのためにはどういうスキルが必要になるのかという議論になることが多いです。 - Critical thinkingを社会の変化をもたらすためのものと見る立場(Cummins (1989), Wallerstein (1983))
狭義のcritical thinkingを超えて、critical thinkingを通して不平等を是正し、社会に働きかけるという立場です。どちらかというとPennycookのいうemancipatory modernismに近い立場だと思います。 - Critical thinkingを社会的実践(social practice)と考える立場(Atkinson (1999))
この立場になると、critical thinkingが普遍的なものではなく、文化特有のものではという議論が出てきます(Atkinson (1999))。この意見に対しては、文化相対主義に陥るのではという反論もあるようです。
- Pennycook, Alastair. Critical applied linguistics: A critical introduction. Routledge, 2001.