言語の種類について
言語の種類を分けるときに、以下の4つに分類することがあります。
- 膠着語(agglutinating language)
- 孤立語(isolating language)
- 屈折語(inflecting language)
- 抱合語(incorporating language)
この4つにすべての言語がきれいに分かれるというわけではなく、2つの類型どちらにも当てはまるような言語も多いのですが、この4つ(その中でも、膠着語・孤立語・屈折語の3つ)はよく使われる分類方法です。
この記事ではこの4つについて簡単に説明します。
膠着語(agglutinating language)
「膠着(こうちゃく)」というのは、「あるものが他のものに接合すること」という意味があります。
膠着語は、助詞や接辞などの機能語が、名詞・動詞などの自立語にひっついて、文が構成される言語のことです。
日本語も膠着語に属する言語です。例えば日本語は以下のような文があります。
- 私 は 大学 に いっ た
赤字の「は」「に」や「た」は、それ自体では実質的な意味を持たない、機能語です。
こういった機能語が、「私」「大学」などの名詞や「行く」などの動詞などの自立語にひっついて文が構成されているのが膠着語です。
日本語以外にもモンゴル語、韓国語、トルコ語などがこの膠着語に入ります。
孤立語(isolating language)
孤立語は中国語・チベット語・タイ語などが属すると言われています。
孤立語は「孤立」という言葉にあるとおり、それぞれの単語が意味を持っています。
例えば、中国語で「私はあなたを愛している」は「我愛你」です。
- 我 愛 你
このとき「我」「愛」「你」のすべてがそれぞれ意味を持つ自立語です。
膠着語のように助詞などがつくということはありません。
孤立語の文法的機能は語順によって示されます。
屈折語(inflecting language)
屈折語の例としてはラテン系の言語(フランス語・イタリア語など)、ギリシャ語、アラビア語などがあげられます。
英語も屈折語に入れられることが多いです。
これは単語の形が文の中で変形することで文法的機能を表す言語です。
例えば、フランス語は、以下のように「aimer(好き)」という動詞の活用が変化します。
- Je l’aime (私は彼が好き)
- Tu l’aimes (あなたは彼が好き)
- Il/Elle l’aime (彼/彼女は彼が好き)
- Nous l’aimons (我々は彼が好き)
- Vous l’aimez (あなたたちは彼が好き)
- Ils/Elles l’aiment (彼ら/彼女らは彼が好き)
また、過去形・現在形・未来形なども語形変化で示します。
- Je l’aime (私は彼が好き)
- Je l’aimais (私は彼が好きだった)
- Je l’aimerai (私は彼が好きになるだろう)
抱合語(incorporating language/polysynthetic language)
抱合(ほうごう)語というのは、名詞・副詞・動詞などの文の要素を組み合わせて、1つの語を作ることができる言語のことです。
抱合語の例としてよく挙げられるのがアイヌ語やエスキモー語です。
例えば、アイヌ語では、「私が魚をとった」を「kani(私) cep (魚)ku=koyki(私がとった)」というようですが、以下のように動詞の中に取り込むこと(名詞抱合)も可能だそうです(ブガエワ 2013, p. 32)
- ku=cep-koyki(私魚とる)
この場合、「私」や「魚」が独立して存在するのではなく、名詞・動詞を組み合わせた、合成動詞のような一つの語になるようです。
このような合成語を作り出すことができるのが抱合語のようです。
まとめ
膠着語・孤立語・屈折語・抱合語についてまとめてみました。
日本語も基本は膠着語に分類されますが、屈折語のような動詞の活用もあるので、各言語がこの4つに簡単に分類できるというわけではありません。
ただ、この4つはよく使われる分類方法だと思います。