Translanguagingについて
Translanguagingについてはこの前の記事をご覧ください。
今回読んだ本
- Cenoz, J., & Gorter, D. (2017). Translanguaging as a pedagogical tool in multilingual education. In J. Cenoz & D. Gorter (Eds.), Language awareness and multilingualism: Encyclopedia of language and education. New York, NY: Springer, p.309-321.
今回は上記の本に収録されているCenoz & Gorterの章を読みました。この章では、Translanguagingについて概観した後、Translanguagingを多言語教育での教育ツールとして使っている例を紹介し、その後に問題点や今後の展望などを挙げていました。短くて読みやすかったです。
Translanguagingを教育ツールとして使う際の問題点
Translanguaginを教育ツールとして使うときの問題点や課題として以下のようなものを挙げていました。(p. 318-319)
- 人によってTranslanguagingという用語の使い方が異なること。
広義のTranslanguagingだと、翻訳や言語間の意識を高めるような活動も入りますが、狭義のTranslanguagingだと、ただわからないときに学生の母語を使って説明するなどといったような、クラス内のストラテジーの一つを指すことになります。同じ用語なのに使われる範囲が違うこと問題の一つとなっています。 - 既存の言語教育に疑問を呈することになること
言語教育は基本的には目標言語のみをつかう「モノリンガリズム」が主流であるため、二言語以上を柔軟に使うスタンスのTranslanguagingはこれに反する流れとなります。 - 導入する際の課題
Translanguagingは一つの科目にとどまらず、学校・プログラムのカリキュラム全体に影響を及ぼすものなので、その導入は非常に複雑です。 - マイノリティの言語の問題
自然の流れに任せると、マジョリティの言語を使用するよう社会的プレッシャーがかかることが多いといわれています。Translanguagingを導入する場合、マイノリティ言語の扱いも考える必要が出てきます。