参考本
「に対して」と「について・に関して」の違いについて調べてみました。参考にしたのは以下の本です。
- 中西 久実子・庵 功雄(2010)日本語文法演習 助詞―「は」と「が」、複合格助詞、とりたて助詞など. スリーエーネットワーク
この本には「に対して」「に関して」だけでなく、様々な複合格助詞、助詞の文法説明・練習問題が含まれています。
に対して
「に対して」は動作・関心が向かう対象を示します。
- 上司に対して文句をいう
例えばこういう文があった場合、「文句をいう」という動作の対象が「上司」になります。
「-に対して」は、「要求する」、「請求する」、「反発する」、「責任を持つ」「訴える」、「親切だ」、「無関心だ」などといったものとよく一緒に使われます。
ただ、「ふれる」や「甘える」のように、動作が直接その対象に及ぶものには「に対して」を使うことができません。
- *この絵に対して触れないでください
上記の文を言うことはできませんが、それは「触れる」という動作が、直接「絵」に及ぶからだそうです。
「に対して」はあくまでその動作・関心の向かう方向という意味合いがあるようですね。
また、「を」であらわされる対象に「に対して」は使いません。
例えば
- 母は私をほめた。
のときに、「私を」と「を」であらわされているので、「母は私に対してほめた」と置き換えることはできません。
について・に関して
「に関して」は「について」より硬い言葉です。「に関して」「について」は内容を表します。
- これから温暖化問題について発表します。
- 温暖化問題について調べた。
上記の2文の場合、温暖化問題は、発表の内容や調べた内容のことなので、内容を表す「について」を使います。
「これから温暖化問題に対して発表します」「温暖化問題に対して調べた」とはいいません。
「対して」はあくまで動作・関心の向かう対象を示すので、
- 温暖化問題に対して責任を持つ。
などととはいえるそうです。
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