リンガフランカとしての英語(English as a lingua franca (ELF))について批判したO’Reganの講演を視聴しました。

この前から時折、ロンドンのBirkbeck Collegeで行われた応用言語学の講演を視聴しています。
今回はリンガフランカとしての英語(English as a lingua franca(ELF))を批判したO’Reganの講演を視聴してみました。

  • O’Regan, John. 50th Anniversary Talks – English as a lingua franca: Fetishism and critique. Jan 26, 2015 Birkbeck College, London

動画のリンクはこちら(アクセス日:2016年8月23日)

この講演では、主にO’Reganの以下の論文の内容を紹介し、彼の論文に対する批判(とそれに対するO’Reganの反駁)などを紹介していました。

  • O’Regan, John P. “English as a lingua franca: An immanent critique.” Applied Linguistics 35.5 (2014): 533-552.

O’Reganは、ELFというのは人工的に作られた概念で、実際には存在しないにもかかわらず、あたかも英語の変種の一つのように扱われているといっていました。

また、ELFの理論も実証主義とポストモダン・ポスト構造主義が混合していて一貫性がなく、理論化も不十分であると、ずいぶん手厳しくいっていました。

マルクスの理論を用いて、リンガフランカに対するフェティシズムがあるとさえ言っていました。

彼の論文については、その論文の書き方、論理構成のしかたなども含め、批判があったようですね。

応用言語学の大御所(?)のH. G. WiddowsonやELFの研究者達の批判論文も、同じ学術誌Applied Linguistics上で発表されたようです。

O’Reganは以下のような本の編者も務めているようです。

  • Prue Holmes, Melinda Dooly, John O’Regan (Eds.) Intercultural dialogue: questions of research, theory, and practice. London: Routledge, 2016.
  • John O’Regan, Jane Wilkinson, Mike Robinson (Eds.) Travelling languages: culture, communication and translation in a mobile world. London: Routledge, 2016.