少し前にlinguistic landscape(言語景観研究)について少し紹介しましたが(詳しくはこちら)、今回はlinguistic landscapeに関する講演を視聴しました。
- David Malinowski “Linguistic landscape: New contexts, competencies, and directions for the language classroom,” Columbia University Language Resource Center, May 2, 2014.
Malinowskiは最近出版された以下の本にも寄稿しているようです。
- Blackwood, R., Lanza, E., & Woldemariam, H. (Eds.). (2016). Negotiating and contesting identities in linguistic landscapes. Bloomsbury Publishing.
この講演で面白いなと思ったのは、「linguistic landscape」という言葉自体が批判されているということと、linguistic landscapeをどう言語学習に活用するかという具体例を提示していたことです。
まず、linguistic landscapeという言葉については、看板やサインなどは言語だけではなく、見た目や周りの環境なども含まれるとして、「semiotic(記号)」を使ったほうがいいのではという意見もあるようです(Jaworski & Thurlow, 2010)。
また、「landscape(景観)」という用語も、あくまで人間が景観を観察するというニュアンスがあり、景観そのもの自体が、人間の意図の有無にかかわらず、権力(power)を行使することを鑑みていないと批判されているようです(Mitchell (1994))
言語学習に言語景観研究を利用する例もいくつか紹介されていました。日本の英語クラスでの例で(Rowland (2012))は、「どうしてこんなに英語があふれているのか」と学生に問いかけた上で、学校外で看板などに使用される英語を学生に探させ、その英語の機能をカテゴリー分けさせるという活動を紹介していました。