第二言語学習理論と教授法④:認知心理学の理論

参考本

この前からの続きです。この本の第4章(p. 108-109)を読みました。以下の記載もおもにp. 108-109を参考にしています(多少加筆しています)。

  • Lightbown, Patsy M., and Nina Spada. How Languages are Learned 4th edition. Oxford University Press, 2013.

↑この本は外国語教授法などのクラスでよく教科書として使われています。

和訳版もあります。

  • Lightbown, Patsy M., et al. 『言語はどのように学ばれるか』 白井恭弘 , 岡田雅子訳 , 東京:岩波書店

認知心理学の理論

1990年頃からは認知心理学の理論が第二言語習得で影響力を及ぼすようになります。これらの理論では、知覚、記憶、カテゴリー化、一般化などの一般的な学習理論で第一言語・第二言語の発達を説明できるといっています。

普遍文法では、生まれながらに人は言語機能を持っているといっていますが、認知心理学の立場では人が生まれながらに持っているのは学習能力で、学習というのがどういうプロセスで起こるのかを明らかにしようとしています。

この立場だと、第一言語・第二言語の違いというのはその学習環境の差異と、既に知っている言語の有無になります。

Information processing(情報処理)アプローチ

  • DeKeyser, Robert. Practice in a second language: Perspectives from applied linguistics and cognitive psychology. Cambridge University Press, 2007.

↑この本などに詳しく書いているそうですが、このモデルでは学習者の認知プロセスに注目しています。

初級の学習者が処理できる情報は非常に限られていて、内容語が中心になります。また単語・文の処理に時間もかかります。ですが、上級になるにつれ、こういう処理プロセスが自動化され、考えなくても文を自動的に生成できるようになっていきます。

また、上級学習者が何か知っている言葉を聞くと、無視することはできず、自動的に処理し理解してしまいます。その言葉の意味理解のプロセスが自動なので、文・会話全体の意味にも注意が向くようになるそうです。逆に初級の学習者は、各単語の意味や、単語と単語のつながりを処理するのに集中するため、文全体を理解できるようになるまでには時間がかかるようです。

 

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