統計の自学シリーズです。第11回目の今日も下記の本の第5章を読み、いろいろな統計テストについて学びました(p.131-147) 。
- Larson-Hall, Jenifer. A guide to doing statistics in second language research using SPSS and R. Routledge, 2015.
Chi-square test (カイ二乗検定)
カイ二乗検定も関係性を調べるものですが、扱うのは2つのカテゴリー変数の間の関係性です。
例えば、 男女のジェンダーによって、高校で学ぶ外国語の科目は異なるのかを調べたい場合、「男」「女」というジェンダーというカテゴリー変数と、「フランス語」「スペイン語」「日本語」などのカテゴリー変数の間の関係性を調べることになります(p. 135)。
カイ二乗検定は以下のような特徴があるそうです(p. 135)
- 変数は必ず2つ
- それぞれの変数に2つ以上のレベル(グループ)(例:「男」「女」など)がある。
- これらの変数の平均値を計算することはできず、各カテゴリーの中の数を数えるだけである
- 変数はすべてカテゴリー変数である
- どちらの変数も独立変数・従属変数と常に定義できるわけではない
カイ二乗検定を使ったSLA研究としては、Geeslin and Guijarro-Fuentes (2006)やWharton (2000)などがあるそうです。
例えば、Geeslin and Guijarro-Fuentes (2006)の研究では、母語(や第二言語)の違いによって、スペイン語のser、estarのコピュラを使用が変わるかどうかを調べたようです。研究では、参加者を3つのグループ(スペイン語L1、ポルトガル語L1、ポルトガルL1・スペイン語L2)にわけ、カイ二乗検定を使って、その3つのグループとコピュラの選択(ser、ester、その両方)の関係性を調べたようです。
過去のシリーズです。
- 第1回目:第二言語習得研究における統計①:参考書の紹介
- 第2回目:第二言語習得研究における統計②:SPSSとR
- 第3回目:第二言語習得研究における統計③:変数
- 第4回目:第二言語習得研究における統計④:Null Hypothesis
- 第5回目:第二言語習得研究における統計⑤:Inferential statistics(推計統計)とdescriptive statistics(記述統計)
- 第6回目:第二言語習得研究における統計⑥:p-value(p値)
- 第7回目:第二言語習得研究における統計⑦:degree of freedom(自由度)
- 第8回目:第二言語習得研究における統計⑧:Correlation
- 第9回目:第二言語習得研究における統計⑨:Partial correlation
- 第10回目:第二言語習得研究における統計⑩:Multiple regression