International Review of Applied Linguistics in Language Teachingの英語で授業を行う大学に関する特集号を見てみました。

特集号について

International Review of Applied Linguistics in Language TeachingというMouton de Gruyter社が出版しているジャーナルが2014年第52巻(2)で、以下のグローバル社会における英語で授業を行う大学についての特集をしていたので、序章のみ読んでみました。この特集号では、日本、カタール、南アフリカ、香港、中国の大学に関する論文などが掲載されているようです。

  • Taguchi, N. (ed.) (2014). English-medium education in the global society. Special issue. International Review of Applied Linguistics, 52(2).

この特集号の編者はカーネギーメロン大学のNaoko Taguchiです。語用論関係で幅広く執筆しています。

  • Taguchi, Naoko. Pragmatic competence. Vol. 5. Walter de Gruyter, 2009.
  • Taguchi, Naoko. Developing interactional competence in a Japanese study abroad context. Vol. 88. Multilingual Matters, 2015.


現在のグローバル化の流れの中で、ノン・ネイティブ同士でもコミュニケーションの言語として英語を使う機会が増え、リンガフランカとしての英語(Lingua Franca English (LFE))という言葉もあるほどです。

この序章では、ノン・ネイティブにとって英語を学ぶことは、(自分の言語や文化をないがしろにして)ネイティブになることではないといっていました。むしろ、英語は国際コミュニティで自らのアイデンティティを示すためのグローバルな言語能力になっているといっていました。(p.91)

 

リンガフランカの英語を教える際の課題

この序章では、特集号に掲載されている論文を紹介した後、最後にリンガフランカの英語を教える際の課題としてよく議論される点について以下の2点を述べていました。

①学生が完全に使いこなせていない言語を通して、学術的な事柄をどう学ぶことができるのか。

私のケースもそうですが、学術的なことを学ぶ際に自分の英語能力がどうしてもネックになることがあります。Content-Based Instructions(内容重視の指導法)など様々な指導法が提示されているようですね。

②英語の所有権の問題

誰を規範し、誰が英語について権威を持っているのかという問題のようです。リンガフランカとしての英語の規範は、ネイティブスピーカーの規範とは異なることも多く、ネイティブスピーカーを規範にすることにも疑問が呈されているようですね。