polylingualism(polylanguaging)に関する短い論文を読みました。

この前紹介したtranslanguagingmetrolingualism(メトロリンガリズム)、plurilingualism(複言語主義)などの用語とも共通点のある用語で、「polylingualism」というのもあるようです。(「poly」は「多」という意味です。)これらの用語すべては、個々人の中で言語が別個のものとして存在するという概念に疑問を呈しているという点では似通っています。

ただ、これらの概念が生まれた背景や議論の焦点などは違うようです。ちなみにmetrolingualismは都市での言語使用の考察、plurilingualimはヨーロッパの言語教育、translanguagingは英国のバイリンガル教育から生まれた概念と私は理解しています。

今回はpolylingualismに関する以下の論文を読んでみました。

  • J. N. JØRGENSEN, M. S. KARREBÆK, L. M. MADSEN, and J. S. MØLLER (2011) Polylanguaging in Superdiversity. Diversities. 13(2), 23-37

polylingualismは主に都市の若者の言語使用の分析を通して生まれた言葉のようです。

この論文によると、polylingualismの規範には以下のようなものがあるそうです。

「Language users employ whatever linguistic features are at their disposal to achieve their communicative aims as best they can, regardless of how well they know the involved languages」 (p. 34)
言語使用者は、できる限りコミュニケーションの目的を達成するため、自分たちがその言語についてどのぐらい知識があるかを問わず、自らが使えるあらゆる言語的特性を用いる。

ちなみにmetrolingualismとtranslanguagingについては以下のような本もあります↓

  • Pennycook, A. and Otsuji, E. (2015) Metrolingualism: Language in the City. Routledge
  • Garcia, O and Li, W. (2014) Translanguaging: Language, Bilingualism and Education. Palgrave