トランスレーションスタディーズにおけるコーパスの役割に関するLaviosaの講演を視聴しました。

時間があったので、トランスレーションスタディーズにおけるコーパスの役割に関するLaviosa(2014)の講演を聞きました。この前に紹介したXiao and Yue (2009)とも一部共通するところがありました。

  • Sara Laviosa “CORPORA AND HOLISTIC CULTURAL TRANSLATION”, given at “I Coloquio Internacional Hermēneus” 2014年4月26日~27日

Laviosaはイタリアのバーリ大学以下の本も出しているようですね。

  • Laviosa, Sara. Corpus-based translation studies: theory, findings, applications. Vol. 17. Rodopi, 2002.

この講演の前半部は、トランスレーション・スタディーズにおけるコーパスについて概観していました。トランスレーション・スタディーズでは、コーパスは記述的翻訳研究(descriptive translation studies)(詳しくはこちら)や翻訳作業の手助け・翻訳者トレーニング等の応用翻訳研究(applied translation studies)の枠組み内で使われることが多いようです。

2003年以降はコーパス使用が盛んになり、記述的翻訳研究(descriptive translation studies)では多言語コーパスが多数作成され、応用翻訳研究(applied translation studies)ではCAT(コンピューター支援翻訳)技術が向上するなど、どちらにおいても大きな発展があったといっています。

後半部は、Maria Tymoczkoの提唱した「Holistic cultural approach」という、文化的要素を一つ一つ抽出してみるのではなく、大きな目で様々な文化的要素を捉えて翻訳するという理論を紹介していました。最後には、コーパスは言語の類似点・相違点を浮き彫りにできるので、この「Holistic cultural approach」に有用なのではないかと言っていました。