言語学習のecological(生態学的)な視点
この前のOrtegaの論文やLarsen-Freemanの論文にもありましたが、特に2000年頃からは、「言語の文法・語彙等から為るシステムである」というソシュールから続く一般言語学や言語習得の根本的な考え方そのものに疑問を呈する動きが出ています。この背景にはポストモダンやポスト構造主義などの大きな学問の流れもあると思います。
このブログで何度か紹介しているKramsch(詳しくはこちら)や、ミドルベリー国際大学院モントレー校(Middlebury Institute of International Studies)の教授のLeo van Lierもその一人で、言語学習の生態学(ecological)的な視点を提唱しています。
van Lierの論文
「ecological」というのがいまいちよく分からずにいたので、今回はそのvan Lierの短い論文を読んでみました。
- van Lier (2010). The ecology of language learning: Practice to theory, theory to practice. Procedia – Social and Behavioral Sciences, Volume 3, 2–6
私が理解した範囲だと、言語教育などではよく現実を単純化して説明したりすることがありますが、ecologicalアプローチは、そうではなくて、同じ発言でも、その発言をした人の背景やその発話場面の状況によって、幾層の意味も持つものであり、そういう複雑でダイナミックな言語使用の文脈に目を向けていこうという動きのようです(たぶん)。
参考文献
具体例がないと??という感じですが、このvan Lier(2004)には詳しく書かれているようです(私自身はまだ読んでいません)
- van Lier, Leo. The ecology and semiotics of language learning: A sociocultural perspective. Vol. 3. Springer Science & Business Media, 2006.
上記の本は翻訳本も出版されているようです。
- van Lier, Leo. (宇都宮裕章訳)『生態学が教育を変える-多言語社会の処方箋』ふくろう出版,2009.
まとめ
もしご興味があれば、ecological(生態学的)な視点について、以下の記事もご覧ください。