英語の話し言葉と書き言葉の違いに関するHalliday (1987)の論文を読みました。

以下の本に収録されていた、英語の話し言葉と書き言葉の違いに関するHalliday (1987)の論文を読みました。

  • Halliday, M.A.K. (1987/2002). Spoken and written modes of meaning. in On Grammar (Volume 1 in the collected works of M. A. K. Halliday), p. 323-351

Hallidayによると、英語の書き言葉は話し言葉よりも語彙の密度(lexical density)が高いそうです。書き言葉のほうがテキストに含まれている情報の密度が高くなるということだそうです。

ただ、文法的複雑さ(grammatical intricacy)という意味では、話し言葉のほうが複雑だといっていました。話し言葉だと、複文等を多用することが多いようですね。

以下はこの論文 に出ていた例ですが、例えば同じ意味の文でも書き言葉と話し言葉で以下のような違いが出ます(p.331)

書き言葉:
Every previous visit had left me with a sense of the risk to others in further attempts at action on my part.

話し言葉:
Whenever I’d visited there before I’d end up feeling that other people might get hurt if I tried to do anything anymore.

この例でもわかるとおり、情報の密度という意味では、書き言葉の方が高いですが、文法の意味では話し言葉のほうが「whenever、before、 feeling that、if」などの節を多用しています。

話し言葉のほうは物事を、今ダイナミックに動いている「プロセス」として、書き言葉は物事を概観して「プロダクト」として提示する傾向にあるともいっていました。