CDAに対する批判
人文社会系の理論・方法論で批判がないものはないと言っても過言ではないと思いますが、批判的談話分析も批判を受けています。
批判的談話分析でよく聞く批判は、基本的にモダニスト的な考え方が見え隠れする(または明確にそういっている)ことかと思います。つまり、隠された「真実」を明かし、社会正義を追求するという目的からディスコース分析することが多く、では「真実」とは何なのか、答えありきで分析しているのではないかという批判を受けることがあります。
Pennycook
Pennycookは、2001年の「Critical Applied Linguistics: A Critical Introduction」やその他の本の中で、4つの批判的アプローチを挙げていますが(詳しくはこちら)、批判的談話分析は、「emancipatory modernism(解放的モダニズム)」、要するに「社会悪からの解放を目指す」枠組みに入れられることが多いかと思います。
- Pennycook, Alastair. Critical applied linguistics: A critical introduction. Routledge, 2001.
Blommart
また、この前も紹介しましたが(詳しくはこちら)、Blommaertは、批判的談話分析は、グローバリゼーションという大きな「コンテクスト」に対する視点が欠けていると批判しています。
- Blommaert, Jan. Discourse: A critical introduction. Cambridge University Press, 2005.
今までシリーズで批判的談話分析について簡単にまとめてみました。自分の頭の整理が主な目的ですが、少しでも他の人のお役にも立てればうれしいです。これを書いていて読んでない本・読み直したい本も出てきたので、今すぐではないですが随時情報を補充していければと思います。
他のシリーズ
他の記事もよければご覧ください。
- 批判的談話分析(Critical Discourse Analysis)について①―日本語の文献
- 批判的談話分析(Critical Discourse Analysis)について②―Norman Fairclough(ノーマン・フェアクラフ)
- 批判的談話分析(Critical Discourse Analysis)について③―Teun van Dijk(テウン・A・ヴァン・デイク)
- 批判的談話分析(Critical Discourse Analysis)について④-方法論
- 批判的談話分析(Critical Discourse Analysis)について⑤-実例
- 批判的談話分析(Critical Discourse Analysis)について⑥-批判