昨日の記事の続きです。
このE-seminarで面白いなと思った点のみ記載しておきます。私が面白いと思った点のみなので、仔細なことも入っています。
- Pennycook, Alastair, and Emi Otsuji. Metrolingualism: Language in the city. Routledge, 2015.
- metrolingualism(メトロリンガリズム)は「都市」に注目していますが、Blackledge and Creeseは都市を分析ユニットとして考えることについては疑問を投げかけていました。というのも、近年は英国はsuper-diversityと言われていて(詳しくはこちら)、いわゆる「都市」に限らずとも似たような現象が見られる可能性もあるのではと言っていました。
- 上記の点についてはPennycook自身が反論しており、都市を「分析ユニット」としては考えていないといっていました。確かに著書を読んでいると、都市に注目はしているが、「都市には限らない」と書いている箇所もあります。
- 上記の本では、ローカルな場でどうリンガ・フランカが形成されるかという点についても触れられているようです(その章は私は読んでいないのでどういう議論がされているのかは分かりませんが)。E-seminarの参加者の一人のBlommaertは、従来のリンガ・フランカといえば、「英語はEUのリンガフランカだ」とか「ナイジェリアのピジン英語は、ナイジェリアの大都市圏のリンガ・フランカだ」などの一般的な用法で使われていることが多いのに対し、この本ではそうではないローカルな場で、様々な言語リソースを持つ人々がいかにやり取りに使う言葉を形成していくかに注目している点はおもしろいと言っていました。
- データを書き起こし方法に関する議論もありました。分析する際に、データに「アラビア語」「英語」とレッテル貼りをする作業があり、それは「metrolingualism」のような既存の言語の境界線に疑問を投げかける概念とは矛盾するのではというものでした。