間主観性(intersubjectivity)に関するGillespie (2010)の講演の動画を視聴しました①

Subjectivityに関連するのがintersubjectivity(間主観性)だと思います。今はロンドンのLSEで教鞭をとっている社会心理学者Alex Gillespieの動画を見ました。これは2011年のデンマークのワークショップの動画で、前紹介したKramschの動画も同じワークショップのものです。

  • Gillespie, Alex (2011) Identity, intersubjectivity and methodology

「間主観性」というと難しく聞こえますが「自分が他者について(根拠なく)感じること・考えること」に近いようです(いろいろ定義はあるようですが・・)。Gillespieの挙げていた例だと、自分の子が目の前で注射をうたれているのをみると、自分も痛くないのに痛いような気がするとか、ボクシングを見ると自分もどちらかの相手の立場にたってちょっと体が動いたりするのとか、自分でも他者でもない「間のスペース」にいること、ということだそうです。

Kramschの前紹介したMultilingual Subjectの本によると(p.18-19)、intersubjectivityの研究では、①実際の会話を通して、どのように人々の間に、共通の知識・理解(つまり「間のスペース」)が生まれているのか(生まれないのか)を調べている研究(ディスコース分析)と、②実際の会話だけでなく、ある一つの会話・文章等にどのような歴史や記憶が含まれているのかを調べる研究(ポスト構造主義の立場)があるそうです。

今回のGillespieの講演は、前者のほうの、どのように共通知識・理解が生まれるのか(生まれないのか)について調べるintersubjectivity研究かなと思いました。彼の紹介していたintersubjectivityの研究はなかなか面白かったのですが、長くなるのでまた今度にします。