ディスコース研究で著名なvan Dijkのコンテクストに関する本の一部を読みました。

van Dijk(ヴァン・デイク)はこの前紹介したFairclough(フェアクラフ)と並んで批判的ディスコース分析で有名な学者です。ただ、フェアクラフとは方向性が違い、社会認知という「認知面」にも重きをおいたディスコース分析をしています。

今回はそのvan Dijk(2008)の「Discourse and context」の第1章を読みました。

  • Van Dijk, Teun A. Discourse and context. A Sociocognitive Approach. Cambridge (2008).

van Dijkによると、コンテクストというのはコミュニケーションが起こる状況・場面を指すのではなくて、話し手や聞き手などの一人一人の参加者が頭の中で考えるメンタルモデルだと言っています。つまり、コンテクストとは、「状況・場面」そのものではなく、「状況・場面について参加者がどう解釈しているか」ということに関係すると言っています。上記に述べたとおり、van Dijkは認知面を重視している学者なので、コンテクストの定義でも認知面に焦点を当てているようです。

また、このコンテクストというのは固定的なものではなくて、話している間にもどんどん変わっていくものだといっていました。会話をする中でどんどん相手との心理的距離が縮まることなどありますし、会話の中で参加者の状況・場面の捉え方が変わってくるということだと思います。

続きも読んでみたいと思います。