最近は「identity」を固定的で変わらないない、ある者の属性とみる概念はかなり批判され、identityは言葉によって構築されるというsocial constructivism(社会構築主義)に基づく捉え方がされることが多いようです。
例えば、フェミニズムなどの分野で著名なJudith Butler(ジュディス・バトラー)(1990)は、「Gender Trouble」という本の中でジェンダーのようなアイデンティティは、あるジェンダーに合う服を着て、あるジェンダーに合う言葉を話し、あるジェンダーに合うしぐさをするなどという、言動を繰り返し繰り返し「パフォーマンス」することによって、作られているといっています。
- Butler, Judith. Gender trouble: Feminism and the subversion of identity. Routledge, 2011.
この本は和訳も出ています。
- Butler, Judith. “1999, 竹村和子訳 『ジェンダー・ トラブル− フェミニズムとアイデンティティの攪乱』 青土社.” (1990).
でも、私の知識の問題もあると思いますが、はっきり言ってとても読みづらかったです。
応用言語学でも、アイデンティティ研究が盛んですが、最近は、このようなアイデンティティが構築されるという視点に基づき、ある会話(正確にはディスコースといっていますが)のなかで、ある学習者や多言語話者が自分をどう位置付けているか(つまり、どのようなアイデンティティを構築しているか)に注目する研究も出てきているようです。
その中で、「subjectivity」(「主観性」)や「subject position」(主観的ポジション)」などという言葉も出てきています。
実はsubjectivityについて書こうと思ったのですが、長くなるのでまた今度にします。