日本語にも結構翻訳されている認知心理学者ピンカーの言語学紹介動画を見ました。

スティーブン・ピンカーはチョムスキーの影響を大きく受けたハーバード大の認知心理学者です。日本語でもかなり著作が出版されているのでご存じな方も多いと思います。(私は読んだことがありませんが・・・)

  • ピンカー・スティーブン. “言語を生みだす本能 (上).” NHK ブックス. 日本放送出版協会. 椋田直子訳 (1995).
  • ピンカー・スティーブン. “心の仕組み~人間関係にどう関わるか.” NHK ブックス. 日本放送出版協会. 椋田直子訳 (1995).

そのピンカーの以下の動画を見ました。

  • Linguistics as a Window to Understanding the Brain(言語学:脳を理解する扉)


これはアメリカのオンライン教育機関の「Floating University」の動画です。もともとは2011年9月にアップされたものだそうです。

言葉に対する考え方や言語学について、興味を惹く具体例と、シンプルな映像で説明していました。ピンカーが大きく影響を受けたチョムスキーについても触れていました。

応用言語学では1980年~1990年頃はチョムスキーの影響で認知的なものや、ネイティブの直感のようなものに注目した論文が多かったようです。ただ、ここ数十年は「social turn(社会的方向転換)」(Block 2003)があり、認知的なものより社会的なものに注目している論文が増えていると思います(少なくとも私が読む範囲の論文では)。(といってもよくculture turnとかecological turnとかよく方向転換するので、これも批判的にみる必要がありますが)。なので、ひさしぶりにチョムスキーの普遍文法についても触れられたのは新鮮でよかったです。ただ、内容は(ピンカーが悪いわけではないのですが)、もう少し専門的なものを期待していましたが、一般的な言語学の紹介みたいな感じでした。

また、プレゼンの仕方、具体例の出し方、映像の使い方は本当に巧みで、将来の授業やプレゼンの時に参考になりそうです。

動画とは直接関係ないですが、特にアメリカでは著名な教授陣を揃えたオンライン教育機関がはやっているようですね。大学提携している機関も多いようです。私も一度 オンライン教育機関のCourseraで統計のクラスをとったことがあります(そして途中で挫折・・)

この前Ivory Towerというアメリカの大学の問題を浮き彫りにしたドキュメンタリーを見ましたが、それにもオンラインコースのことが触れられていました。

このブログでもよく紹介しているように、私自身もよく動画を視聴していて、移動中などの時間の有効活用(暇つぶし?)として重宝していますが、こういったオンライン教育はこれからの教育機関・学習の在り方にどういう影響を与えるんでしょうかね・・・。